色再現(カラー化)に関して

白黒写真のカラー化に対する当社の取り組み

AIによる白黒写真のカラー化技術

 ご存知のように、近年のAIの進化は目覚ましく、白黒写真のカラー化精度も開発当初に比べ大幅に向上しました。ただAIは局所的な部分や物体、また風景などのシーンを捉え、蓄積された膨大なデータを元に「それが何か」を認識して色を推定するため、教師データを持ち合わせていない個々の特定の人工物(衣服・商品・鉄道・車・建築物・看板等)に関しては色の「傾向」を読み取ることが不可能で、煤(すす)けた色合いでごまかしたり、色ムラ、色抜けも多く見られます。特に原板写真の状態が悪く(褪色・傷・汚れが酷い等)ぼんやりとした印象の写真には、その傾向が顕著に現れます。

AIによる自動色付けの好例
AIによる自動色付けの好例
AIによる自動色付けの失敗例
AIによる自動色付けの失敗例

 今後さらにAIの精度が向上することは予想されますが、色の3要素(色相・彩度・明度)の内の「明度」の情報しかない白黒写真に写る特定の人工物すべてを認識し、正確に特定して色付けすることは極めて困難なのです。

 ヒト(技術者)の場合、まずはその写真のストーリーを読み取り、資料・情報などを元に調査を尽くします。また、たとえ特定できない場合でも決して曖昧な色付けはせず、色の3要素、当時のフィルム特性なども考慮の上で、より自然で正確な仕上がりを追究し、入念に作業を進めます。

拡大して細部までご覧ください

色再現比較例1(原板/AI/当社)
色再現比較例2(原板/AI/当社)
色再現比較例3(原板/AI/当社)
色再現比較例4(原板/AI/当社)

写真左[原板写真]
 無修正の状態(デジタル修復・修整前)
写真中[AIによる自動色付け]
 複数のAIサイトに原板を入力、その中で最良と思われる出力結果を抽出(2025年現在・個人的見解による)
写真右[当社による色再現「精密カラー化」]
 複数のAIによる色付け+高画質化加工データを部分的かつ効果的に活用し、技術者による修復・修整・彩色データを融合した「精密カラー化」

AIには成し得ないヒトの「感性」

 当社が白黒写真のカラー化サービスを本格的に開始したのは、AIによる白黒写真の自動色付け技術が注目され始めた2016年頃でした。AI技術が世に出た時期に、何故あえて「ヒト」主導による「手間」と「お金」のかかるカラー化サービスを始めたのか? それは、AI技術に感銘を受けたと同時に、ヒト(技術者)の関与の必要性を強く感じ、AIとヒトのコラボレーションにより、カラー化技術の飛躍的な進化の可能性を見出したからです。

 

 AIとヒトによるカラー化の手法を模索していた2018年、横浜の日本新聞博物館にて、渡邉英徳・東京大学大学院情報学環教授による「人工知能(AI)を使った『記憶の解凍』」という、AIによる白黒写真の自動色付けとその加工や活用を学ぶワークショップに参加させていただきました。渡邉教授も「AIによる色付けは完全ではなく、調べたり、人と話を重ねるこによって、人が知識を加えてモノクロをより記憶に近いカラーにするのが現在の取り組みである」とお話しをされていました。また「そのことをきっかけに、消えてしまいかかっている記憶が現代につながる『記憶の解凍』に意味がある。目の前で色が付く、その瞬間に感動し記憶が甦る。どんなにAIが進化しても、感動したり思いを刻んだりするのは人の仕事で、これはずっと変わらない」とも。

 

 色には記憶を呼び覚ます力があります。今後も進化を遂げるAIとの協業によって、依頼者様が「感動」し、「思いを刻む」ことができるお手伝いを、永く続けられることができれば幸甚です。

 

アジャストフォトサービス株式会社 代表
写真修復技師・着彩作家 
三木 秀記 
「精密カラー化」技術とは?
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